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2024年度(7~9月)神戸市民病院機構における医療事故

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記者資料提供(2025年1月17日)
地方独立行政法人神戸市民病院機構
神戸市民病院機構における医療事故の公表に関する指針に該当する事案(医療側に過失が認められるレベルA以上の事案等)は以下のとおりです。

事象レベル別件数(2024年7月~9月)

レベル 件数 態様
A 2 予期しなかった、もしくは予期していたものを上回る濃厚な処置や治療の必要性が生じた場合
B 0 予期しなかった、もしくは予期していたものを上回る永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害を伴う場合
C 0 事故が死因となる場合(原疾患の自然経過によるものを除く)

 

公表事案①

(1)レベル:A
(2)患者:神戸市内在住 70歳代 女性
(3)発生年月:2023年12月(事案の認知は2024年7月)
(4)発生場所:神戸市立医療センター中央市民病院
(5)発生状況と経緯:
 2023年8月、他院より転送され胆管炎・胆のう炎の診断で入院。消化器内科にて、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)(※1)を行い、胆管閉塞の治療のために胆管ステント(※2)を留置した。
 同年12月、総胆管結石性胆管炎に対する結石除去のためにERCPを行った。その際、胆管閉塞の治療効果が得られていたことから、留置していた胆管ステントを抜去する必要があったが、結石除去を優先して行う必要があったため、腸管内に胆管ステントを一時的に留置した。
 本来であれば、結石除去後に当該ステントを回収すべきだったが、胆管結石除去後、胆管ステントの回収を忘れ、腸管内に残されたままとなった。ERCP後のレントゲンで胆管ステントが写っていたが、その時点での確認が不十分であった。
 2024年7月、他院のレントゲンで腸管内の胆管ステントの存在を指摘され、当院を紹介受診となった。胆管ステントによる明らかな症状は認められてはいなかったが、内視鏡で当該胆管ステントを回収した。その後、明らかな後遺障害は認められていない。
(※1)ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影):内視鏡(カメラ)を口から入れて十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接造影剤を注入して、胆嚢や胆管及び膵管の異常を詳しく調べる検査
(※2)胆管ステント:閉塞した胆管を開通させることを目的としたチューブ。胆管炎にて体内に蓄積される膿を排出したり、胆嚢摘出術時の胆石の落石や胆汁漏といった合併症の予防目的で留置する。
(6)対応:
 診療科部長及び担当医師から患者本人・患者家族に対して経緯を説明し、謝罪を行った。
(7)今後の対策:
 検査が終了する際に、医師と看護師でステントの有無を確認し、検査後のレントゲン写真の確認は、必ず2名以上の医師で行うよう徹底した。
 また、マニュアルにその手順を追加し、関係部署と共有した。

公表事案②

(1)レベル:A
(2)患者:神戸市内在住 60歳代 女性
(3)発生年月:2024年1月(事案の認知は2024年9月)
(4)発生場所:神戸市立医療センター西市民病院
(5)発生状況と経緯:
 2024年1月に腹痛・嘔吐を主訴に当院を受診。抗菌薬等の治療の結果、症状が改善し、退院となったものの、胆嚢(※3)内に結石が複数確認されており、胆嚢摘出術を行うこととなった。胆嚢摘出術に備え、消化器内科にて胆管ステントを留置した。
 同年4月に消化器外科にて胆嚢摘出術を実施し、5月に経過良好として終診した。その後、同年9月に腹部の膨満感等を訴え、他施設を受診したのち、当院へ紹介受診となった。消化器内科を受診した際、ステント閉塞による胆管炎の発症が確認された。
 本来、留置したステントは、消化器外科から消化器内科に対し抜去依頼を行う運用となっているが、診療科間の連携が適切に取れておらず、胆管ステントが残ったままとなっており、結果的に胆管炎が発症した。
 発覚後速やかに閉塞したステントを抜去し新たなステントに交換し、抗菌剤治療を開始した。同年9月に結石除去及びステントを抜去し、経過良好で退院となった。
(※3)胆嚢:胆汁を貯めておく臓器。摘出しても人体への影響はほとんど無い。
(6)対応:
 診療科部長及び担当医師から患者本人・患者家族に対して経緯を説明し、謝罪を行った。
(7)今後の対策:
 消化器外科にて抜去依頼が漏れないよう、カルテの記載内容を見直すほか、消化器内科においても抜去時期を見越して仮の受診予約を取得する等、院内の再発防止に取り組む。
 また、マニュアルにその手順を追加し、関係部署と共有した。

市民病院機構としての対応

両事案について、各病院においてマニュアルにその手順を追加し、関係部署へ周知徹底を図った。

参考:公表に関する指針

公表に当たっては患者さん及びご家族が特定・識別されないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行いつつ、事案の内容について一定の範囲で公表を行っています。
神戸市民病院機構における医療事故の公表に関する指針は、神戸市民病院機構のホームページをご覧ください。
公表に関する指針