最終更新日:2024年12月12日
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司会:
それでは、ただいまより12月1回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。私からお話を申し上げたい案件は、今日は2件です。1つは、生活が苦しくて、安定した住居を持たない若年世代に対する新たな支援を更生センターで行いたいというテーマが1つ目、2つ目が、地域防災力を向上するために、ICTを活用した新たなサービスの提供を始めたいというふうに思っておりますので、この2点を御説明させていただきます。
まず、更生センターをリニューアルオープンするわけですけれども、ここに、ここからプレイスという、そういう機能を追加したいというふうに考えております。この神戸市立更生センターは、これは神戸市の施設の名称です。場所は、JR灘駅の近くのJR神戸線と阪急神戸線の間にある施設です。この施設は、生活保護法に基づく更生施設でして、これは、生活の指導や支援を必要とするための入所施設、そして入所をしていただいて、日常生活や自立に向けた支援を行うと、こういう機能を持っております。あわせて、これは神戸市の独自の取組ですが、住居がない方にその日の滞在する場所を無料で提供するという機能も持っておりまして、生活や医療面での相談に24時間対応、こういう対応を行ってきました。
ここの現地に移転をしたのが1981年なんですけれども、大分老朽化してきたので、このほどリニューアルをするということにいたしました。このリニューアルについては、今までは、これは相部屋だったわけですが、やはり社会情勢の変化の中で、入所者のプライバシーを確保するということから考えれば、個室あるいは準個室化をするということ、そしてトイレも和式から洋式にいたしまして、明るい外観に再塗装をするということにいたしました。それから、これから申し上げます若年世代、男性若年世代への支援ということもここで行うということにするということもありまして、Wi-Fi環境も整備をするということにいたしました。
こういうふうにリニューアルをすることになるわけですけれども、ここの施設は、この1階が1日単位で滞在をしていただく施設で、2階、3階が生活保護法に基づく施設になっているわけですね。そこで、2階、3階の個室、準個室の、ここの部分を、入所を活用いたしまして、次ですけれども、ここからプレイスという伴走支援を行うことといたします。更生センターの中で、更生センターというのは生活保護法に基づく更生施設であるわけですけれども、この更生施設のスペースを使って、神戸市として独自に男性若年者に向けた伴走支援をすると、これが今回の新たなサービスの内容です。
2階、3階の居室の部分を使って、まずとにかく、イメージとしては、インターネットカフェとか漫画喫茶を転々としている、そして、もうそこでの滞在するお金もなくなってきたというような方から連絡を受けて、そして一時的にここに入っていただき居室を提供する、その日を過ごしていただく居室を提供する、そして1日で終わることではないわけですけれども、まずそこからスタートをいたしまして、ここの施設で調理をした食事も無料で提供する。
対象は、市内で不安定な居住環境にある18歳から39歳の男性を対象といたします。ここの更生センターは、従来から男性を対象とした支援をしてきましたので、現時点におきましては、その延長線上で、18歳から39歳の若年世代の男性に対する支援をするということにしているわけです。
そして、まずそういう対応をするわけですけれども、それから、ここの施設にはケースワーカーもおりますので、そういう相談にも乗ることができています。生活力を獲得していただく、あるいは資格等を取得するための支援も行う。こういうことをいたしまして、就労体験が少ない方もいらっしゃいますから、そういう方に対してはボランティア活動をやっていただくというような対応もあり得るかもわかりません。いずれにいたしましても、個々の方に応じた支援をするということになります。
そして、本格的な自立の支援に向けて、とりあえず後期というふうに呼んでおりますけれど、本格的な自立に向けた対応といたしましては、とにかく就職していただくことが大事ですから、求職活動をサポートする。生活の基盤を安定化していただいて、そして住居を確保する。そのためには、場合によっては敷金の支給なども行う。こういう対応をすることにいたします。このサービスを、次ですけれども、この相談自身は24時間で受け付けるようにいたします。12月12日、今日から、ここからプレイスの相談を受け付けるということにいたします。
日本は全体的にホームレスが少ないです。少し前になりますけれども、米国の西海岸に出張したとき、シアトル、ポートランドを訪れましたけれども、ホームレスの数が大変多いということに大変驚きを感じました。日本の場合には、どこの都市もホームレスはそんなには多くありません。神戸もホームレスの数は少ないと認識をしております。それは、この更生センターという施設を持っていて、そして生活、居住面で当てがない、あるいは不安があるという方については、この更生センターで一時的に滞在する、そういうスペースを用意してきたということもあるのではないかというふうに思います。
ただ、少数ながら、こういうような更生センターで滞在するスペースを用意しても、やはり野外で生活をするということを選択する方も少数ながらいらっしゃいます。そういう方に対しては、この更生センターの職員が巡回しておりまして、巡回相談にも応じております。こういう形で、厳しい状況に置かれている方に対する支援というものを、これは神戸市の独自の施策として行っていく。若年世代の中にも、先ほど申し上げたような境遇に置かれている方々がいらっしゃいますから、そういう方々に対して、今回のリニューアルを契機といたしまして、神戸市として独自にそういう支援をするということにさせていただく。そういう報告を今日はさせていただきました。
もう1つは、ICT、DXを使った新たな試みといたしまして、1つはLINEを使ったサービス、神戸市災害掲示板というものを新たにスタートいたします。神戸市では、神戸市からの情報提供、神戸市だけではありませんけれども、気象庁やあるいは報道による情報も含めて、できるだけ一元的に情報を提供したいということで、リアルタイム防災情報というサービスを提供してきました。これはテレビ、スマホ、防災行政無線、広報車などいろんな情報がばらばらに発信されるわけですけれども、これをまとめて、分かりやすく提供する、そういう行政サービスを提供してきたわけです。
もちろん警報とか注意報、地震・津波情報や土砂災害警戒情報、避難情報、あるいは避難所の情報、あるいは神戸市が対策本部を設置したときには、対策本部から発表する情報というものもありますし、気象庁が提供する雨雲レーダーなどもここから見ることができる。そのほかに、河川とか海岸にリアルタイムでその状況が分かるカメラを置いておりますので、これもリアルタイムでここから見ることができる。ハザードマップやライフラインや公共交通の情報というものもここで、スマホで簡単にまとめて見ることができる。こういうサービスを情報提供するという見地から行っているわけです。
一方で、特に近年、最近ますますそういう傾向が強まっていますが、SNS上で様々な情報が投稿されるという、これはもうまさにネットの中にはそういう情報があふれているわけです。しかし、その情報の中には、どこで起こっているのかとか、あるいは詳しい状況がどうなのかということは、そこからはすぐ分からないような場合もたくさんあるわけです。
そこで神戸市としてはこれを、この投稿情報というのは非常に貴重なので、これを活用して災害応急対策に役立てることができないかということで、2019年からSIP-KOBE実証訓練という、そういう特別なアカウントを設けまして、これはLINEを使ったアカウントです。LINE上で実証実験用のアカウントです。SIP-KOBE実証訓練というアカウントをつくりまして、そこに友達登録をしてもらうという呼びかけをいたしまして、登録をしていただいた方が、台風や大雨警報時に御自身のスマホで撮った写真などの情報を登録していただく。こういう、これはあくまでも実験としてこれをスタートさせました。
12月現在で、この友達の数は1万5,249人になっています。これまで投稿の呼びかけを14回行いました。この14回の呼びかけに対しまして、行われた報告の件数は1,386回ということでした。そこで、この5年間実験をしてきました。これはやはりもう実用化できるのではないかという判断に立ち至りまして、そして、これを本格的に運用するということにいたしました。
それが、このLINE上の神戸市災害掲示板という、そういうアカウントです。これを今日からこのサービスをスタートさせました。このやり方は実験で行われたものを、本格実施を進めるということで、市民の皆さんが身近な災害情報を簡単に投稿する、これを地図上に表示をする、そして、地図上に表示する前にAIが投稿された文章を分析し自動でカテゴリー分けをする。そして、投稿された情報は、行政も市民の皆さんも地図上でこれを確認することができるというものです。
そのイメージを御覧いただければ。まず友達登録、LINEの友達登録をしていただくわけですが、その後は「まちの状況登録」をタッチして、そして、登録をしていただく。また、真ん中の2つ目のアイコンを使って、AIからの質問に応じて被害状況、位置情報、現場の写真、こういう順番にメッセージに答える形で投稿をしていただきます。いただいた投稿の内容はAIが自動的にカテゴリー分けの判断をいたしまして、これを地図上に表示をする。こういうサービスです。
投稿されている内容を確認されたい場合には、この「報告を地図でみる」というアイコンをタッチしていただきますと、地図上に円グラフで表示をされます。この円グラフの投稿状況をタッチすると、選択した投稿内容の確認ができる。こういうものです。
このように、災害対策のレベルをさらにアップしていくためには、既に行っている、神戸市が一元的にまとめて行っている防災情報の提供とともに、市民の皆さんからも様々な投稿を集約し、それを整理し、市民の皆さんとの間で、そして行政との間でも情報を共有する。こういう形で、災害時における的確な避難行動などの行動につなげていきたいというふうに考えております。
もう1つは、耳で聞くハザードマップという取組です。これまで、さきほど御紹介いたしました神戸市リアルタイム防災情報と、それから、防災情報のハザード情報、これは毎年6月にくらしの防災ガイドというものを全戸に配布をしております。このくらしの防災ガイドの中には、土砂災害、洪水のハザードマップもあります。しかし、ハザードマップについては、このマップを見ることができない視覚障がい者の方には伝わりません。区役所などで、職員が視覚障がい者の方には自宅周辺などの災害リスクというものを口頭で説明するということはやっておりますけれども、やはりそれには当然限界があるわけです。
そこで今回導入しようとするのは、アプリです。「耳で聴くハザードマップ」というアプリ、これを導入いたします。これはスマートフォンを使って、そこで表示されるハザードマップの情報を音声で読み上げるという機能です。視覚障がい者の方が日常的に使っておられるアプリの中に、ユニボイスブラインドという文字情報読み上げアプリがあります。この文字情報読み上げアプリの拡張機能として提供するもので、これを使って音声で周囲のハザード情報や避難場所などを案内しようというものです。
このスマートフォンの位置情報を使って、現在地のリスクというものを検索することができる。災害時には警報、注意報、神戸市からの避難情報などの情報も音声で確認をすることができるというサービスです。これの導入に当たりましては、パイロット版をつくりまして、市内の視覚障がい者団体の方々にも使っていただきましたけれども、これを使っていただいた当事者の方々からも、これをぜひ導入してほしいという声が寄せられましたので、これを12月16日から無料で提供いたします。
これを導入している自治体は幾つか全国ではありますが、関西では初めてということになります。最新のテクノロジー、またデジタルツール、これを活用いたしまして、さらに災害対応というものを神戸市としては引き上げていく努力を今後とも続けていきたいと思っております。
私からは以上です。
司会:
一旦、LINEの災害掲示板のデモをさせていただきます。耳で聞くハザードマップにつきましては、会見終了後にまた、皆さん御希望あればさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
職員:
では、LINEを使いました災害掲示板のデモをさせていただきます。
まず初めに、「まちの状況登録」から行います。登録するために、左上の「まちの状況登録」ボタンを押します。すると、AIのほうから、まちの状況を入力してくださいという形で聞いてきますので、周囲の状況を入力します。今回はテストとして、大雨が降り続き、道路が冠水していますと入力します。
続いて、位置情報の送信になります。AIが位置情報を送信してくださいというふうに聞いてきますので、下の送信ボタンを押します。地図が表示されますので、場所が合っていることを確認し、送信ボタンを押します。
次に、写真の送信になります。AIが写真を送信してくださいと聞いてきますので、写真を送信します。写真につきましては、カメラ撮影、保存した写真の送信、写真を送信しないと3つが選べますが、今回はカメラ撮影から送信します。送信しました後、続けて写真を送信しますかと聞いてきますので、追加するかどうかを確認します。今回は追加しませんので、追加しないを押します。
これで入力が終わりましたので、AIからこういった形で入力内容の確認がされますので、内容を確認して、こちらでよろしければ、一番上のボタンの「まちの状況を登録」を押します。これで入力は完了という形になります。
続いて、登録した内容を地図で確認する形になります。メニューボタンに戻りまして、「報告を地図でみる」を押します。先ほど登録した内容については、一番下の新着報告の欄にございますので、そちらの新着報告を押します。こちらが先ほど登録した内容になります。
また、そのほか市民からいただきました投稿につきましては、こちらにあります地図上の丸印ボタンを押すことで確認することも可能になります。
説明につきましては、以上になります。
久元市長:
私どもからの御説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
記者:
ここからプレイスの件なんですけども、すみません、まずちょっと素朴な疑問で、新しい建て直し後のここからプレイスが施設上の運用上の問題で男性に限られるというところは何となく分かるんですけども、何か女性を対象にした別の施設というのはあったりするんですかね。
久元市長:
女性のこういう住居が不安定な方に対する施設というのは特にありません。ただ、DVを受けている方のシェルターなど、既にそういう施設は利用されておるんですが、一般的に住居が不安定な方、女性の中にも確かにいらっしゃるとは思うんですけれども、インターネットカフェを転々とされている方には現時点ではまだできてはおりません。これは将来課題だというふうに思っています。
記者:
なるほど。それは先々、スパンはともかくとして検討していく、市長もおっしゃったように、一昔前という言い方がちょっと適切かは分からないですけど、昔は住居のない方というと、路上生活に繰り出すというか、路上生活を送られる方が多かったと思うんですけども、今、市長も認識されていたように、住居がない方で、インターネットカフェでその日しのぐという方もいらっしゃると思うので、そういったことも踏まえて、女性向けの施設というのも先々検討する、していくという感じなんですかね。
久元市長:
まず、そういうニーズがあるかどうかになりますね。ここは直接そういう女性の方から意見を聞くことが果たしてできるかどうかなんですが、ただ、いずれにしても、こういう生活困窮者の方と接触しておられるNPOの方もいらっしゃいますから、そういうような方々から意見を聞きながら、まずニーズがあるかどうかというところからスタート。ですから、今すぐこれを検討するというところまで今日は申し上げる段階ではないと考えます。
記者:
LINEの神戸市災害掲示板について3つほどお伺いしたいんですけれども、1つ目が実証実験を5年間重ねられたというところで、そのテストに参加した人からの、実際に避難行動に結びついたとか、何か成果があったから実用化に至ったと思うんですけども、そういった成果面みたいなところとかをお聞きしたいのと、あと2つ目が、これを使う実用面のところで、プッシュ通知みたいな感じで新しい情報というのは届くのかということと、一般の方がすごい直感的に、簡単にできるなとも思ったんですけれども、偽情報とかそういったところも、神戸市のアプリのフィルターを通して出てきて、それは避けられないものなのか、そういったところをお聞きしたいなと思います。
久元市長:
まず、この5年間実証実験をやってきて、相当様々な意見を、あるいは報告の事例を積み重ねてきて、これは実用化できるのではないかという、そういう判断に立ち至ったわけですが、ありがたいことに、ここ5年ぐらいは、神戸市としてはもちろん災害があったわけですけれども、かなりの方が避難をするというような大きな災害はなかったので、これを使って避難行動に結びつけたということではないかと。もしまた違っていたら補足していただきたいと思いますが。
それから、なりすましということについては、LINEは最初に電話を登録することになっているので、そこで若干リスクは下がるだろうというふうに思います。ただ、この投稿自体が全く偽の投稿であるかどうかというのは完全には判断できないわけで、そこの疑念は残りますけれども、リスクがあるということは間違いないわけですけれども、これを導入することのメリットのほうが大きいのではないかというふうに、これは非常に難しいところですけれども、そういう判断をしたというところです。
ちょっと補足してください。
職員:
市長おっしゃっていただいたとおり、ある程度、誤情報についてはあるということは認識しておりますけども、やはり電話番号を入れていただくとか、それから場所も入れていただくということもございますので、偽情報の可能性はかなり下がるのではないかというふうに考えております。
記者:
ちなみに、実証実験で1万4,000ぐらいの投稿があったんですかね。
職員:
1,300。
記者:
1,300の中には、そういった間違いも含めて、何かそういった情報ってあったんでしょうか。
職員:
特に認識しておりません。
記者:
それも何かプッシュ通知的に伝わってくるんでしょうか。
職員:
今後、その辺もユーザーさんの意見を聞きながら、必要な情報については今後、プラスアルファをしていきたいというふうに考えております。今の時点では、特に実装しておりませんけども、プッシュ通知のどういうものがいいかというところもアンケート等を取りまして、今後、充実させていきたいというふうに考えております。
記者:
現時点では、市民の方がLINEから今の災害状況、気になるから見に行って情報を取るということなんですかね。
職員:
災害時につきましては、投稿してくださいということで、こちらのほうから呼びかけをさせていただきまして、それに応じて入力していただく形になりますけども、ほかの、雨がたくさん降っているというときにも、任意に入力していただくということは可能になっております。
記者:
引き続き、このLINEの掲示板についてなんですけれども、AIが自動で整理・集約するということなんですけれども、具体的にはどういう仕組みになるんでしょうか。何を整理するのかというのを、もうちょっと詳しくお伺いしたい。
職員:
1つは場所の情報の整理というところと、それからあと災害の種別ですね。そちらにつきましても、AIが既にいろいろ学習していきますので、そのカテゴリー分けをAIの中で自動でするという形になっております。
記者:
場所の整理というのは、投稿された位置情報ごとに、最終的にいろんな投稿をまとめた地図上で見れるような形になるんだと思うんですけど、そのことですか、場所の整理というのは。
職員:
場所の整理というのはそういうことになります。
記者:
あと、大雨とかというのも想定されるかなと思うんですけど、例えば路面の陥没とか何かそういう、災害ではないけれども市民生活に影響があるようなものとかの扱いはどうなるんでしょうか。
職員:
そういったことも投稿していただければいいかというふうに考えております。
記者:
最後に、ここ、実際にいろんな市民の方から投稿があって、市がまだ確認できていないような被害を確認することにもつながるかと思うんですけれども、その投稿があった後の被害状況の確認とかというのには、どうやってつなげていかれるんでしょうか。
職員:
そちらにつきましては、例えば人命救助とかであれば119番通報をしていただくという形になりますので、そういった通報に関しましてはまた別の扱いになるということで、通常の形で通報していただくと。あくまで市民の方々の情報共有ツールという形で使っていただくということを目標にしております。
記者:
なるほど。じゃ、例えば河川から氾濫していて、この中の情報を基に市のほうで何か対応に動くということで使うわけではなくて、あくまで市民同士で、ここが危なそうだからこっちに近寄るのはやめようとか、そういうことにのみ特化したものという理解でいいですか。
久元市長:
いや、そうではなくて、それは情報に基づいて、もう川があふれそうになっていると。でしたら、これは、ここは対応しなければいけないわけですよね。しかし、それはこの投稿だけから判断するのではなくて、例えば気象庁からの警報の発令状況とか、あるいは監視カメラも市内に幾つかありますから、幾つかの情報というものを総合的に勘案して、すぐに出動するとか救助に向かうとかそういう対応を、複数の情報に基づいて普通は災害応急対策を行うんですけれども、そういう情報源の中に、こういう投稿というものも新たな、今までこういうものはなかったわけですから、こういうものも参考にしながら必要な災害応急対策を行うという、そういうふうに御理解していただければと思います。
記者:
なるほど。なので、市としてもいろんなところから生の情報が集まってくるというメリットがあって、それに応じて対応されていくということですね。
久元市長:
そうです。
記者:
引き続き災害の掲示板についてお伺いします。先ほど、誤情報については、あることも承知した上で導入していくというお話でしたけども、これ、仮にもし誤情報だというふうに行政側のほうとかで分かった場合というのは、どのように対応していくんでしょうか。
久元市長:
特段の対応はしないでしょう。するんですか。削除する?
職員:
はい。
久元市長:
明らかに誤情報であれば削除するということですね。
記者:
ありがとうございます。
あと、ほかの人が投稿した内容を地図上で見る場合というのは、これはあくまでそのLINEに登録しないと見れないという認識でよろしいでしょうか。
久元市長:
そうです。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
あと、最初のここからプレイスのほうについてお伺いします。こうした更生施設というのは建て替えの時期が来ると、全国的に見ると閉じるという判断もあると思うんですけども、今回改めてリニューアルという形での継続をされたことについて、重複するお話もあるかと思うんですけど、この意義についてお伺いしたいです。
久元市長:
閉じるという判断をする自治体もあると思いますが、やはり数は少数でも現実にホームレスの方もいらっしゃる。そういう方々に対する居どころの提供ということについては、神戸市としてもそういう施設が既にあるわけですから、これを引き続き活用することが必要ではないかということと、ここの施設には、24時間対応できて、様々な本当に厳しい状況に置かれている方に対して対応できる専門的なスキル、経験を持った職員も、ケースワーカーも含めて、ここにはいるわけです。そういうような経験を我々は長年持っていて、同時に新しい生活困窮の対応として、若年世代の中にもインターネットや漫画喫茶を転々として、なかなか相談する相手もいないというような方々がいらっしゃるということを考えれば、せっかくあるこの施設と、それからそういう人材を、そういう若年世代に対する支援に振り向けていくということは、大都市行政のありようとして必要なことではないかというふうに考えます。
記者:
ありがとうございます。
あと追加で、先ほど女性の話もありましたけど、改めてなんですけど、男性のみを対象としている理由についてお伺いしていいですか。
久元市長:
これまで男性を対象とした施設に若者支援というものを付加するという前提ですから、女性の対応はできていないわけです。そのことに対して議論があることはもちろん承知しておりますけれども、現実的な対応をしたいということです。女性が対応できないからこれをやめてしまうという選択肢はしたくはないという思いもあります。
記者:
リニューアルに当たって新たに女性を対象に含めるというのも判断として1つかなと思うんですけど、そういう判断はされなかったんでしょうか。
久元市長:
検討はしました。検討はしましたけれども、現時点では、なかなかこれは難しいというふうに考えました。
記者:
どういうところが難しいんでしょうか。
久元市長:
やはり長年これをやってきた職員は、男性、特に高齢の男性が多いんですけれども、高齢の男性を中心に対応してきた。施設もそういう対応になっているということですね。それから女性に対応するとなると、これは相当大規模に改修しないといけないということになりますし、男性と女性が一緒にこれを対応するとなると、そのための体制の強化ということも恐らく必要になってくるだろうと思いますが、現時点ではなかなかそこまでは対応することはできないというふうに考えたからです。
記者:
引き続き、ここからプレイスなんですけれども、これ、部屋数は何部屋ぐらいあるとか、あとWi-Fiがあるということなんですけれども、設備面で、大体1部屋の広さとか、ほかにどんなものがあるかとかいうのを教えていただきたいのと、あと、これは18歳から39歳までの男性ということなんですけれども、40歳以上の男性は入れないということなんでしょうか。
職員:
まず、部屋数でございますけれども、ここからプレイスの事業として対象にする人数としましては、同時的には8名が最大の人数になります。もちろん更生センターという施設を利用しておりますので、8名を超過するような場合でもそこは柔軟に対応いたします。それがまず1点でございます。
もう1つ、すいません、Wi-Fiの件。
記者:
Wi-Fiがあるということですけども、それ以外の設備がどんなものがあるのかと、一部屋の広さ。
職員:
一部屋につきましては3畳、畳3畳分の部屋です。そこに収納スペースがあるというところです。設備面に関しましては、今回、新たにWi-Fiを付加したということで、若い方も対象にいたしますので、SNS等で情報収集されるという機会もございますのでWi-Fiを通したというところで、それ以外について、新しい付加設備というのは、今回はございません。
記者:
寝具はあると。
職員:
失礼しました。寝具はございます。お布団です。
40歳以上の方の支援ということでございますけれども、ここ更生センターは従来から、年代にかかわらず住居の不安定な方を対象に支援してまいってきた施設でございます。40代以上の方につきまして、そういった状況にある場合につきましては、従来の更生センターの対象になるかどうかというようなところで、更生センターは生活保護法に基づく更生施設でございますので、生活保護法に基づく生活扶助でありながら、また健康の状況が不安な方については医療も受けられながらというようなところになってまいりますので、更生センターの施設としての支援対象者になるかということも御判断いたしますので、そのあたり、40代以上の方がここで相談できないというわけではなくて、御相談が必要な方はどんどん相談していただきたいと考えております。
記者:
入れる人は39歳以下という。
職員:
ここからプレイスという事業としての対象の方は、一定、39歳までというふうにさせていただいております。
久元市長:
40歳以上の方は1階の一時滞在所には入れるわけですよね。
職員:
はい。1階の一時宿泊施設、これは年代関わりなくということでございます。
記者:
耳で聞けるハザードマップの件でお伺いしたいんですけれども、まず、このユニボイスブラインドという機能がちょっとよく分からなくて、アプリ、視覚障がい者の方がアプリを見て操作するということなんでしょうか。
職員:
そうでございます。ユニボイスブラインドというアプリを入れていただきまして、その中で動くハザードマップになっております。
記者:
目で見て操作をすることができる人が使えるアプリということなんでしょうか。
職員:
視覚障がい者の方が使えるアプリとなっております。
記者:
災害時に視覚障がい者があったりすると、覚知自体がちょっと遅れたりとかすることもあるかと思うんですけれども、その時は自動で勝手に立ち上がるとか、そういう形になるんですかね。それも自分からアクセスして、ここから情報を取るという形になるんでしょうか。目が見えないということだと、操作にちょっと手間取ったりとか、なかなかちょっと難しいこともあるのかなと思ったりしたので、お伺いしたいんですが。
職員:
プッシュ通知のほうでございますけども、耳で、音声でプッシュ通知ができる形のものになっております。
久元市長:
この耳で聞くハザードマップは、この後ここでデモも行いますから、詳しい話はそちらでまたお聞きいただければと思います。
記者:
すみません、新長田の再開発事業についてお伺いしたいんですが、まず、いまだに売却できてない商業スペースが3万平方メートル以上あると思うんですけども、そこの売却の努力はされているんでしょうか。
久元市長:
もちろんしておりますが、保留床のことをおっしゃっていると思うんですけれども、保留床も全く使われていないわけではなくて、この保留床の大部分のものは貸し付けておりまして、店舗として運用されているものもあります。
ただ、権利床、保留床とも含めて、倉庫として使われている部分も一定ありまして、それはシャッターが閉まっていると、全くここは何も使われていないのかというと、それはそうではありません。ただ、いずれにいたしましても、今神戸市が持っている保留床については、様々なリーシングを行っておりまして、ほとんどの保留床はそういうような、貸し付けたり、有効利用されているというふうに思いますけれども、さらにこれを、最終的には売却をして、できるだけ回収していく、そういう努力は続けていきたいと思います。
記者:
すみません、もう1点伺いたいんですけども、神戸の西の副都心プロジェクトがあると思うんですけども、梅田や三宮は結構都心で、魅力あるまちができていると思うんですけども、そういった意味では、はっきりと言って、集客が乏しいといえると思うんですけども、ほかのまちにない魅力を生み出せれば、売れ残ったその商業床も売却できないと思いまして、そして集客も少ないままだと、神戸市さんとしては、このまち、新たに何かてこ入れする、何か予定などはこれからあるんでしょうか。
久元市長:
神戸市は、この新長田の再開発プロジェクトというものは極めて重要な、震災からの復興ということと、それから、神戸の西部地域における拠点としての魅力を高めるという努力をしてきました。特にかなり早い段階で、夜間人口は相当、現時点ではたしか4割ぐらい震災よりも前に増えていると思いますが、しかし、なかなか昼間人口、にぎわいがなかなか戻ってこなかったということがありますので、これは地下街をきれいにしたり、あるいは新しい商業施設の誘致をする。かつ従来、お店を営んでいる方との共存を図りながら、新しい商業施設を誘致するというような努力を行ってきたと。
それから、昼間人口を増やすためには数年前にオープンいたしました県・市の協調事業である新長田合同庁舎、ここにはかなりの数の職員が移ることになりまして、同時に県と神戸市、神戸市は市税事務所をそこに集約しましたので、税のために相談とか手続に訪れられている市民の方もいらっしゃいます。それから、すまいまちづくり公社、今の住環境公社もここに入っておりますから、そこに来られる方も含まれてしまうと。
それから、最後の44番目の再開発エリアには、兵庫県のキャンパスプラザがオープンして、総合衛生学院と兵庫県立大学、兵庫教育大学のサテライトオフィスが先般にオープンしたわけですね。ここでかなりの学生や教職員の皆さんが来られる。
いずれにいたしましても、そういう形で昼間人口もほぼ震災前よりも上回る形になると思います。再開発地区には新たなマンションもかなり建っておりまして、特に子育て世代の入居が目立っています。新長田の地価も低迷しておりますけれども、ここのところは地価は少し上向いてきているところです。併せて再開発地区エリアだけではなくて、再開発エリアの周囲には下町がまだ残っております。ここには居酒屋さんとか、新長田の粉もんのお好み焼き屋さんとか、銭湯なんかもありますし、こういうような魅力界隈性というものをより引き出し、発信をしていく。
それから、そういうところには空き家も増えておりますから、神戸市が空き家を改修して、そこで新しいビジネスを開始してもらう。そういうシタマチスタートアッププロジェクト、これもスタートして、既にそこに入居した若い世代の皆さんもいらっしゃるわけですね。
こういう形でいろんな手法を組合せながら新長田エリアの再生、それから発展ということをこれからも続けていきたいと思います。
記者:
ありがとうございます。
すみません、もう1つだけ伺いたいんですけど、震災から来年で30年たつと思うんですけど、先月、「再開発が全部終わった」と神戸市が発表したと思うんですけども、30年かかった理由というのを伺ってもよろしいでしょうか。
久元市長:
もともとこれは相当程度時間がかかるプロジェクトでもありましたが、やはりこの間の商業とか流通に関する環境の変化、これは新長田だけに限ったわけではありませんが、ネットでの商慣行が相当広がってきているということ。
それからやはり、最近はおかげさまで少し地価も上向いていますけれども、バブル崩壊の後の地価の大幅な下落といったような予期せぬ要因というものもあったということも言えるのではないかと思います。
記者:
先週の土曜日なんですけども、大丸前の街路樹が老朽化して倒れるという事態がありました。改めて市長として率直な受け止めと、これから課題をどのように捉えて、どのような対策を取っていくかということを改めてよろしくお願いします。
久元市長:
街路樹が倒れたということは、これはすぐに私のところには秘書を通じて連絡がありまして。その後、車のフロントガラスが割れて、幸いけが人はいなかったということ。直ちに建設局のほうで倒木の原因というものを調べてみたところ、その少し前に目視で点検をしたわけです。そのときには異常がなかった。しかし、根元が腐食をしていたということが判明したということで、そして、直ちに周辺の街路樹の点検を緊急に実施するということも含めて、これは記者発表も9日の日にさせていただきました。その後、その点検の結果、たしか、腐食をしている、明らかに腐食をしてはいないけれども、やはり実際に根本に、棒を突き刺すというんでしょうかね、それでやってみると、やはりかなり不安定な樹木もあるので、これは伐採を既にしたというふうに聞いております。
この点検というのは、やはり、この大丸近辺に限ったことではないわけですが、しかし、市内の高木、街路樹の中でも高木とされるものは約11万本ありますから、これをどういう形で点検をし、どういう優先順位をつけて、どういう順序でやっていくのかというのは、今、建設局のほうで検討中です。
記者:
全国でも、東京ではお亡くなりになった方もいましたし、京都の観光地の木が倒れたという事案もありましたが、何かそれが神戸市でも、中心市街地の木が、結果として、けが人はいなかったものの倒れてしまったというところで、そこ、何か率直な捉え方として、対応策は今お伺いしたとおりなんですけども、率直に何か聞いたときの捉え方はどうでしたか、市長として。
久元市長:
私、この倒木というのは、これは絶対起こり得ないとは思っておりませんで、これは繰り返し点検をしてくれるように、そして点検をした結果、必要な対応を取ってくれるように、これは市長・副市長会議でも注意を喚起してきたところです。
実は、これは倒木だけの問題ではなくて、これまでも、例えば天井からの落下とか、それから公園の木が、これは倒木ですが、公園の木が倒れた。あるいは、公園の照明灯が倒れたというようなことが起きています。これは神戸だけに限ったことではなくて、全国的にそういう問題が起きているというのは、やはり、どんどん新しくいろんな施設を整備していくということは、必要な部分はありますが、やはり社会全体が人口減少を迎えて、今ある施設というものの老朽化、これに対して対応をしなければいけない。これは何も倒木だけの問題ではなくて、いろいろな設備とか機器について言えることです。これは水道管についても下水道管についても言えることですね。
こういうところにしっかり対応していかなければならないという問題意識は強く持っておりまして、例えば、街路樹の話に戻りますと、いわゆる街路樹は、まちの中の緑を増やしていかなければいけない。これは今、大丸の前の街路樹が倒れましたので、より慎重に、かつ積極的にやっていかなければいけないと思いますが、それとともに、やはり将来的なコストというものを考えれば、明らかに必要でないような街路樹というのは、やはりこれは削減していく必要があるのではないか。これは、長い目で見たときに、ライフサイクルコスを考えたときにはそういう対応も必要ではないか。つまり、これは、こういうことが、目の前のことが起きたので、目の前の事象だけに対応するのではなくて、やはりこれは、よりトータルな視点で、より中長期的な視点も加えながら、これは相当腰を据え、しっかりやらなければいけない、そういう問題意識は非常に強く持っておりますので、改めて、そういう基本的な問題意識の下に対応していきたいというふうに思います。
記者:
1件御意見を伺えればと思うんですが、アジア開発銀行の総裁に神田さんが選出されました。神戸市顧問として9月に就任されていると思うんですが、かなりの激務になることが予想されると思うんですが、当初描いていた役割と何か変わることがあれば教えてください。
久元市長:
アジア開発銀行総裁になられるかどうかは分かりませんでしたけれども、顧問になられるお願いを行ったときに、相当激務で既にあられました。同時に、本人はおっしゃいませんでしたけれども、もう別の重要なポストに就かれるということは周辺の方からは聞いておりましたので、顧問をお引き受けいただいたのは、そういう前提でお引き受けいただいたというふうに思っております。これは大変に神田さんには感謝しております。
できれば神戸でも、神戸のグローバルな見地に立った経済戦略というのをどう立てたらいいのかというのを含めてまたお話を聞かせていただく機会があればというふうに思っておりますし、それから、そういうようなお願いを含めて幹部が行ったときも、かなりの時間を取って神戸のことをお聞きいただき、また感想もおっしゃっていただいておりますので、大変な激務ですけども、神戸について様々な御助言あるいは御支援をいただければというふうに思います。
―― 了 ――