最終更新日:2024年12月26日
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司会:
それでは、2024年最後の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。今日は、特段私からお伝えしたい案件はないわけですが、今年最後の会見ということになりますので、この1年を振り返りながら、また神戸市政全般について、御質問があればお答えをしたいと思います。
今年は何といいましても、1月1日、元日の能登半島での地震から1年が始まりました。神戸市は直ちに消防など関係の職員を派遣し、また、短期でかなり幅広い職種の職員を派遣して、被災地での対応を支援いたしました。また、新しい年度に入る前後からは、長期派遣も行いまして、今も珠洲市、穴水町に職員を派遣しております。
また、来年は震災から30年になるわけですが、神戸市は内外から支援を受けながらあの危機に立ち向かい、また神戸のまちを復興させ、よみがえらせてきましたので、そういう感謝の思いを持ちながら、この間、東日本大震災の被災地をはじめ、被災地支援を行ってきました。神戸というまちはいろんな試練を受けてきた都市です。戦災復興事業が戦後行われ、若き日にこの戦災復興事業に携わった職員が、阪神・淡路大震災のときには、今度は震災復興の中核的役割を担いました。
また、東日本大震災のときは、若き日にこの震災復興に携わった職員が、東日本大震災の被災地の中心的役割を果たし、若い職員と一緒に被災地支援を行ったと承知をしております。能登半島で今派遣されている職員の中には、東日本大震災で支援活動を行った職員もおります。こういう形で、この30年の間に神戸市の行政組織の内部では、このように被災地支援活動の中で汗を流しながら、震災の経験というものが職員の間で受け継がれてきているのではないかというふうに感じております。
来年は1月早々に、改めて能登半島の被災地支援本部を開催して、今後の能登半島被災地域への支援の方針を決めたいと思っております。振り返れば、去年の1月の初めに神戸の消防出初式を中止いたしまして、能登半島の被災地支援本部を設置し、開催をいたしました。あれから1年になるわけですから、神戸市としては、息の長い能登半島地震被災地域への支援を行っていきたいと考えております。
能登半島の被災地域では非常に大きな苦労が続いているわけですけれども、一方、神戸市についていえば、この1年間、もう様々な課題があるわけですけども、全体としては平穏で、また明るい1年ではなかったかというふうに感じております。やはり1つはパラ陸上選手権大会、随分久しぶりの国際スポーツ大会でした。これは市民の皆さんの参画、ボランティアの皆さん、内外からボランティアの皆さんに来ていただきました。子供たちも懸命に応援をしていただいた。いろんな皆さんのおかげで、パラ陸上選手権大会は成功に及び成功裏に終えることができたのではないかと思います。
さらに加えまして、今日、会長をお勤めになられました増田明美さんにスポーツ特別功労賞をお贈りしたいと考えておりますが、もうすばらしい方に会長になっていただいて、そしてこの大会の成功に導いていただいたということも大きかったのではないかと思います。
また、1年を振り返れば、この30年の間に震災からの復興が一段落し、また、財政対応力を回復させる中で取り組んできたいろいろな事業が実を結び、それらの中には姿を現しつつあるものもございます。
少し、新しくできた施設などを御覧いただきたいと思いますが、1月から4月の間にはさんちかの2番街がリニューアルオープンをしましたし、4月にはポートタワーのリニューアル、これは大変大きかったと思います。ポートタワーがまた神戸らしい姿を見せ、内部も大きくリニューアルをされまして、そして大きく来場者も増えました。神戸のナイトタイムエコノミーの活性化という意味でも大きな意味があったと感じております。山と海と両方の神戸の姿が変わりつつあります。
また、6月には、この海ということからいいますと、須磨シーワールドがオープンをいたしました。そして、この行政関係の施設でいいますと、西区役所が西神中央に移転をした、その前には玉津に区役所があったわけですが、これは全く新しい形での玉津庁舎として生まれ変わりました。
名谷の駅前のリニューアルを進めていますが、8月には北須磨支所がオープンをいたしました。また、神戸市の中のライトアップも進めております。この海ということからいいますと、この11月には須磨海づり公園がオープンをいたしました。もちろん私もオープニング式典には出ましたけれども、その後たまたま、移動する途中に、ウイークデーの午前中でしたけれども、海づり公園に行きましたら物すごくたくさんのお客さんがいて、家族連れで、子供たちも海釣りを楽しんでいる姿があります。神戸の須磨、そして垂水の海岸も大きく変わったのではないかというふうに思っております。
11月には三井のアウトレットパークマリンピア神戸がオープンをいたしました。また、神戸北野ノスタもオープンをいたしまして、ここも予想を上回る来館者、来園者に来ていただいていることもありがたいことです。
そして、30年の歳月をかけて続けてきました新長田の再開発事業は、兵庫県の新長田キャンパスプラザのオープンで終結を見ることになります。新長田の再開発事業、様々な困難な課題がありましたけれども、多くの方々の参画と支援と様々な議論の中で、これを終結させることができたことに感慨を覚えております。様々な議論と課題があったわけで、また、当初の見込みと違った面もありましたので、これらをしっかりと検証し、そして今後のまちづくりに生かしていきたいというふうに思っています。もちろん、この新長田のエリアにつきましては駅前の再整備、新長田の駅前の再整備、それから西市民病院の移転も予定をされておりますので、再開発エリアの周辺に広がる昭和の風情を残した下町の雰囲気、これも大切にしながら空き家の再生などに取り組み、ここに新たなビジネスを起こそうと志を持っておられる若い世代の皆さんに入っていただく、シタマチスタートアップの取組もこれから進めていきたいというふうに考えております。
全体としては、神戸の都心ウォーターフロント、これは今、工事の最盛期といってもいいかもしれません。既に磯上公園や東遊園地もリニューアルしておりますし、来年のルミナリエも見据えながら、旧居留地のイルミネーションも進めてきております。
都心ウォーターフロントはこれから大きく変わっていくというふうに思います。都心ウォーターフロントについて言いますと、ポートタワーのリニューアルが今年行われましたが、来年の4月にはGLION ARENAがオープンをいたします。1万人規模のアリーナができる。そしてこの周辺の緑地も整備をいたしまして、今までになかった新しい風景がここに出現をする。夜間の景観も、これによって大きく変わることになるのではないかというふうに思います。
そして、このウォーターフロントの、この海ということから言いますと、須磨のエリアは先ほど申し上げました須磨シーワールド、それから海づり公園がオープンをし、垂水のアウトレットもオープンをいたしました。須磨、舞子、垂水、この辺りも大きく風景が変わることになりました。
そして、神戸空港が来年の4月には国際化をいたします。あと、何回か発表させていただきましたように、定期便に近い形での運航が来年スタートすることになります。こういう形で、まだ12月31日ぎりぎりまで気を抜くことはできませんけれども、少なくとも今のところ、明るい雰囲気で1年を終えることができそうに感じております。市民の皆様方をはじめ、様々な分野の方々の御支援に感謝を申し上げながら、1年の所感とさせていただければと思います。
私からは以上です。
記者:
よろしくお願いします。
この1年振り返られて、個人的にも大きかったなと思うのが、神戸空港の国際化のめどが立って、そして、この秋から次々に就航の意向を表明される航空会社、海外の航空会社さんも出てきたと思います。まず、このことについての、国際便を飛ばしたいと表明している航空会社さん、多数手を挙げられているという現状についての受け止めをよろしくお願いします。
久元市長:
これは、神戸空港は、正直3つの空港がある中で、長い間持っているポテンシャルを発揮することができなかったわけですね。これをどう打開していくのか、やはり1つは、神戸空港の運営権を関西エアポート株式会社、事実上関西エアポート株式会社に譲渡する、このコンセッションがうまくいったということと、それからやはり、3空港懇談会で神戸空港のことを議論していただいて、これは関経連会長の松本正義会長に感謝しなければいけないと思いますけれども、関西の経済界、そして、大阪府などの関係の自治体の御理解もいただいて、神戸空港が関西空港を補完する形で、関西全体の発展に貢献するということについて御理解をいただいた、そういうような皆様方の御支援のおかげで、この国際化ということが実現をできることになったということは大変喜んでおります。
今、我々がやらなければいけないことは、この4月18日に第2ターミナルという名称にいたしましたけれども、これがオープンをする。そして、国際チャーター便が就航することになる。これを安全かつ確実にスタートさせるということだというふうに思います。ですから、緊張感を持ってこの4月18日を迎え、そして4月18日からの神戸空港の安全な、そして快適に利用していただけるような空港というものを、関西エアポートと特に連携をしながら進めていくということが大事ではないかというふうに感じております。
記者:
そして神戸から、神戸空港にたくさんの海外の方がいらっしゃって、神戸で宿泊するような旅行プランの販売も始まっているということなんですが、この神戸空港を今回国際化して、地域経済にとってもプラスかとは思うんですけども、どのように、今後そこをどう結びつけていきたいとか、何かありましたらよろしくお願いします。
久元市長:
もちろんインバウンドは期待できるところです。同時に、神戸空港から神戸周辺、関西からのアウトバウンドも期待をしたいというふうに思います。
観光面でのメリットということはもちろんあるわけですが、やはり神戸経済の発展のためのビジネス交流につながっていくということをぜひ期待したいと思います。例えば、仁川空港からは100の空港とつながっているわけですね。神戸空港は仁川を通じて世界とつながります。台湾の桃園空港も国際空港ですから、同じことが言えると思うんです。ですから、この神戸空港の国際化によって、神戸という都市はビジネス、経済の発展ということでも、新しい国際都市としての時代を迎えるということです。そういうことを意識しながら、グローバル経済戦略ということをしっかり立てていかなければなりません。
そのためには、昨日も神戸経済同友会の皆さんと意見交換をしましたけれども、地元の経済界の皆さんとしっかり議論して、官民一体で、また、神戸は大学都市ですから、大学の専門家の先生方の知見もいただく産学官連携の取組ということをしっかり進めて、神戸のステージというものを新たな段階に、これを引き上げていくということが大事ではないか、そういうチャンスがやって来たということだというふうに感じております。
記者:
先ほど、神戸空港の国際化の御質問がございましたので、関連してお伺いできたらと思っております。1つは今、第2ターミナルといいますか、国際チャーター便につきまして、航空会社からの申込みをまさに受け付けていらっしゃるところかなというふうに理解しているんですけれども、可能な範囲で結構なんですけど、現状、申請状況ってどのようになっているのか教えていただけますでしょうか。
久元市長:
申請状況は、かなりたくさん来ておりますが、同時に、第2ターミナルのキャパシティーの問題、それからCIQの問題もありますから、やはりその範囲内でどのように対応していくのかということも考えて、関係者と協議をしながら、また、それぞれ提案がある航空会社とも相談をしながら対応していきたいというふうに思っております。
記者:
分かりました。それでいいますと、先着順とかいうお話も何かちらっと聞いたことがあったんですけど、もうやはりいろいろ、それぞれのエアラインさんの考えている計画を吟味しながら、神戸市さんとして判断をされるという?
久元市長:
そうですね。やはり航空会社さんの御提案というものをしっかりお聞きして、そして、せっかく神戸空港に就航を希望されるわけですから、双方にとってメリットがあるということも、どういうメリットがあるのかということを勘案しながら対応していくということが大事ではないかというふうに思います。
記者:
もう1点だけ、今後、4月18日のオープンに向けて、具体的な航空会社であるとか路線を決定していかれるという、今度、年が明けたらそういうステージになってくると思うんですけど、現状で、いつ頃までには航空会社の路線を決定したいというふうなお考えでしょうか。
久元市長:
今のところはありませんが、年内には動きは特にないと思います。年が改まりましてから、また発表させていただく機会を持つことができると思います。
記者:
今年を振り返っていただいたんですけれども、何か今年を象徴するような漢字とか、昨年も発表いただきましたが、もしあれば御披露いただけないでしょうか。
久元市長:
毎年そういう御質問をいただいているので、一応用意をしてきました。今年の漢字は「海」ではないかというふうに感じております。「海」というふうに申し上げましたのは、神戸の地に生きる人々は、いにしえから海と向き合い、そして海を恐れながら、海の恵みを受け取ってきたわけですね。そういう営みというのは、ずっとこれまでも続いてきました。
そういう中で、今年1年を振り返れば、やはり海に近いエリア、ウォーターフロントも含めて、そして、古来から風光明媚な地でありました須磨、垂水、舞子のエリアがかなり大きく変わりました。これはもう繰り返しませんが、風景が大きく変わりました。それからウォーターフロントも、昔は今のウォーターフロントのエリアは港だったわけです。私どもの世代が子供の頃は、あそこにたくさんの船が着いて、船が入港し、出航していく風景がありました。その後、昭和40年代、1960年代にコンテナ化が進む、船が大型化をするということで、神戸の港はポートアイランド、そして六甲アイランドに国際コンテナ戦略港湾として整備がされていった。
そして、このウォーターフロントというものをどうするとかということ、これは相当早い段階で考えなければいけなかったわけですが、震災の影響もあったということで、なかなか進めることができなかったわけですけれども、これはほぼ計画も大体まとまってきまして、姿を現わすようになってきました。このウォーターフロントのエリアも非常に大きく変わりつつあります。確実に変わっていきます。新年度予算の中でも、このウォーターフロントの再整備ということは1つのポイントになると思います。また当初予算がまとまりましたら、お話をしたいというふうに思います。
そして、先ほども御質問を幾つかいただきましたけれども、海上空港である神戸空港が国際化をする、大きく変わっていくということになると、やはり、ずっと神戸市民が向き合ってきた「海」という漢字が私にはごく自然に頭の中に浮かびましたので、先ほど「海」という字を紹介させていただいたというものです。
記者:
今年だけでもたくさんの施設ができたり、来年、神戸空港の国際化、GLION ARENAとか、徐々にできてくると思うんですけれども、来年以降の観光客数の目標値とかって何かあったりするものでしょうか。
久元市長:
いえ、私の頭の中には特にありません。観光客を増やしていくということは大変大事ですが、やはり大事なことは、観光客の目標値を立てること自身の意義を否定はしませんけれども、どんどん増やしていこうという姿勢を持ちつつも、神戸に来ていただいたインバウンドの方々、また国内の観光客の方々も含めて、神戸の中で気持ちよく過ごしていただけるようにするということ、受入れということが非常に大事だというふうに思います。
例えば、これはまだ今、かなり急ピッチで検討しているところですが、4月から国際チャーター便、定期便に近いような形でかなりのインバウンドの方々が神戸に来られるということになれば、できるだけスムーズに神戸のまちを移動していただく。もちろん、神戸空港の使命というのが、神戸以西の方々の需要を取り組もうということと、神戸以西への地域に対しての波及効果を及ぼすということが大事ですが、やはり気持ちよく神戸のまちを散策していただくためには、移動手段をしっかりするということ。それから、できれば手荷物サービスも充実させて、もう神戸のホテルにスーツケースとかそういう荷物は送って、手ぶらに近いような形で、パスポートとか身の回りの必要なものだけを持って神戸を回遊していただくということが必要ですから、そういう取組。
それから、ポートライナーについては、これも何回も御説明しておりますように、混雑しているのは通勤通学時間帯ですから、全体としての輸送力ということについては限界ではないわけですけれども、そういう時間帯も含めてスムーズに移動していただくためには、やはりバスの活用というのが現実的ですから、そういう対応。こういうことをしっかりやっていくということが大事ではないかというふうに思っております。
記者:
今のお話にあった手荷物のサービスなんですけれども、それは民間ではなくて、市でどのように関わるというか、どういうビジョンを今描かれていらっしゃるんですか。
久元市長:
ビジョンというほどのものでもないです。要するに手荷物を運んでくれればいいわけですから、運んでくれる民間事業者の方を見つけて、そして空港の中に必要なコーナーを設けて、そしてサービスをできるだけ早く開始すると。これは昨日も関係局で議論をした。絶対にこれはやらないといけないということを副市長、関係局長の間でも強く確認したところです。
記者:
それはもう神戸空港の国際化スタートと同時にそのサービスも始めるということを今お考えということで、準備されているということでしょうか。
久元市長:
それはなかなか答えにくい。昨日、ホットな議論をしたばかりなので、関係局長は即答はしませんでしたけれども、私はぜひお願いしますというふうに申し上げたところです。
記者:
じゃ、そこを目指して今、検討を進めているということですね。
久元市長:
はい。
記者:
なので、空港から神戸市内のホテルに滞在される方を対象に、手荷物だけホテルのほうに郵送するサービスで、手ぶらでそのまま神戸市内とか近隣を回っていただけるようにするサービスを考えているという。
久元市長:
手ぶらというか、パスポートは絶対持っておかないといけない。パスポートと財布とかスマホとか、そういう必要最小限の携行品は持っていただかないと、と思いますが、そういう手ぶらに近い形で、散策していただく、回遊していただくということですよね。
神戸の観光というのは、目玉施設というか、そういうのがあるようなまちではないわけですよ。神戸のまちの中にはたくさんの魅力のあるスポットがありますから、できるだけまちを歩いて、電車、地下鉄、バス、シティループもありますし、できるだけ公共交通を使ったり、タクシーを使ってもらってもいいんですけれども、まち歩きを楽しんで、グルメを楽しみ、ショッピングを楽しみ、アートシーンを楽しんでもらうということを目指したいというふうに思っています。
記者:
神戸空港の話題になりましたので、まさに同友会さんの今年度の政策提案が神戸空港についてということだったかと思うんですが、その中に、まさに手ぶら観光のお話も出てきたということなんですが、そのほかに同友会の御提案で、これは急いでやりたいなとか、あるいは、その手があったかとか、印象に残ったものを挙げていただくとすれば、どんなものがあるでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
久元市長:
たまたま同じ日に、先ほど申し上げましたように、政策会議で神戸空港の対応をして、議論しておりましたので、手荷物をしっかり対応してほしいということが一番やっぱり印象に残りました。
記者:
それは、何というか、その政策会議とは、たまたま同じ話題になったということなんですか。
久元市長:
そうです。
記者:
そうなんですね。
久元市長:
タイムリーな御提案をいただいている。私にとっては追い風に。
記者:
では、提案の中からもう1つ、2つ、何か印象に残ったものがありましたら。
久元市長:
全体として、これは神戸空港だけではありませんが、神戸のデザイン力というものをもっと向上させる必要があるのではないかと。これは経済同友会に来られた方々の中にも、昨日は複数の女性の経営者の方もいらっしゃいましたけれども、そういうような方々からは、やっぱりいろんな神戸のまちのたたずまいとか季節だとか景観とか、そういうものについてのデザインを向上させていくというような提案がありましたので、これは、そういう要因というのは必要だというふうに思っておりましたので、それも印象に残った1つです。
記者:
そういう意味では、デザインということでは、例えば空港と三宮と新幹線の案内標示を統一すれば便利じゃないかというようなのって、意外と神戸市が号令をかければできるんじゃないかと思ったりするんですが。
久元市長:
それは選択肢としてはあると思うんですけれども、同時に、統一するところは統一するほうがいいかもしれませんが、しかし、三ノ宮駅は6つの駅がある、兵庫県最大の乗降客数があります。つまり、市民も使う、それから、近隣の方々も来られる、国内の観光客も来られる、空港に行かない人ももちろんたくさんいるわけですから、そういうようなほう、多様な利用客の方々のことも考えながら、案内標示とかサインとかということを考えていく必要があると思います。ただ、その提案は大変、これは我々があまり気づかなかったポイントでもあるので、これはどういう形で生かすことができるのかというのはしっかり考えたいと思います。
記者:
あともう1個。同友会の方と意見交換をなさったのは、昨日ではなくておとといだったりしませんか。
久元市長:
おとといでしたかね。おとといだったかもしれません。
記者:
おとといって、同友会の方は24日だとおっしゃっていたんですが、それで間違いないですよね。じゃ、後ほど触れさせていただきます。失礼いたしました。ありがとうございました。
久元市長:
ただ、同友会があったことは間違いないです。
記者:
先ほどこの1年を振り返るお話がありましたけども、来年に向けてなんですけども、来年に向けて、この1年を踏まえて一番取り組みたいことや、ここを意識的にしたいというものがあれば教えてください。
久元市長:
1つは、神戸のまちは大きく変わりつつありますし、明るい方向に向かっているという気がしますけれども、目の前のことを考えれば、やはり市民生活が、物価の上昇やなかなか賃金が上がらないということ、また人手不足ということで、市民生活が影響を受けている。それから、中小企業を中心に、やはり厳しい状況に置かれている方々がいらっしゃるということは間違いありませんから、そういう市民生活への影響ということに対して、基礎自治体としてどういうことができるのかということをやっぱりしっかり考える必要があると思います。
もちろんこの全体的な対応は、これは国の対応を待たなきゃいけないわけですけれども、ですから、自治体としてこれに対して大きな役割を果たすということは無理だと思いますが、国の経済対策ということをしっかり見極め、それを、支援策というのは多数用意されているので、これをしっかりと取り入れていく。これは分かりにくいんですよね。国の支援策、県の支援策、神戸市の支援策も大変分かりにくいということがあります。これをどうしたら分かりやすくそういう支援策を求めている方々に届けるのか。特に国の支援策には相当いいものがあるにもかかわらず、分からないということがあります。こういうことをしっかりと使っていただけるような、一種の、言葉は適当ではないかもしれませんが、コンシェルジュ的な役割というのを市として果たしていく。
それから、やはり私たちは一番市民生活、市民に近いところにいますから、なかなか厳しい状況に置かれている方々に対する対応ということはしていかなければなりません。これは、何日ということになると、また記憶が混濁してもいけませんから、ごくごく最近というふうに申し上げておきますが、生活面で非常に厳しく、その日の寝泊まりする場所に困られるような方々もいらっしゃるわけで、そのような方々に向けた更生センターという施設、これをリニューアルいたしました。
それから、ここでは、今まではどちらかというと高齢者の方が中心だったわけですが、若い世代の中にも、インターネットカフェなどに起居する、あるいはいろんなところを渡り歩くという人々がいるわけですね。そういうような方々が自立することができるような「ここからプレイス」という施設をスタートさせました。
市民が助け合って街をよみがえらせてきた神戸ですけれども、やはり人々の孤立、孤独、そして貧困という問題があります。こういう問題に対しては、様々な問題意識を持ったNPOの方々も、また地域団体の方々も対応していらっしゃるわけで、地域協働局や関係局がよく連携をして、そういう支援をしていただいている方々と共に、この問題、こういうなかなか日が当たらない問題に対しても誠実に向き合い、対応していくということ。これは今年から来年、また来年も力を入れていかなければいけない問題だというふうに考えております。
記者:
今、政策的なところをお伺いしたんですけども、来年には市長選も控えています。現時点で出馬するかどうかというのを、お考えをお伺いしたいです。
久元市長:
今のところは特に考えはありません。任期中、精いっぱい仕事をしたいというふうに思っております。来年の選挙にどう対応するのかということにつきましては、来年に入ってから、しかるべき時期に考えがまとまれば、またお話をしたいと思います。
記者:
来年のしかるべきタイミングでということですけども、いつぐらいまでにというのは何かありますか。
久元市長:
いいえ、今のところはありません。
記者
来年中に?来年というか、選挙前?
久元市長:
来年中だと任期が終わってしまいますね。
記者:
すみません。リミットは特にないということで。
久元市長:
はい、そうです。
記者:
全く別件になってくるんですけれども、すみません。ちょっと、大阪のほうで日本維新の会が、もう一度都構想を頑張ろうみたいな話がちょっと出ている関係で、大都市制度についてちょっとお伺いしたい。指定都市の会長もされているということでお尋ねしたいんですけれども、11月頃に総務大臣に対して、市長会としては特別市に関しての創設を柱とした提言をされていたかと思います。その中で、道府県との二重行政の解消といった問題にも触れられていたかと思いますけれども、その一方で、道府県の中には特別市に対しては反対のスタンスを取られる自治体さんもあったりはするところですけれども、そのあたりの合意形成だったり、理解を得るだったりとか、そういった取組が必要だと思われるかどうかというところをお聞かせいただけますか。
久元市長:
特別市というのは都道府県から大都市が独立するという制度ですから、全国知事会あるいは知事の方々が、初めから理解を示すわけがないと思います。しかし今、我が国の状況を考えてみると、やはり、失われた30年と言われる中で経済成長がかなり鈍化をしてきた。成長しない日本ということになってしまった。これは二重行政とかそういう問題ではなくて、これから日本がもう一度成長軌道に乗っていくということのために克服しなければいけない問題というのは、東京一極集中の是正であることは間違いないわけです。
東京に人が集まる、企業が集まる、お金が集まる、情報が集まる、人財が集まる、そのことで大きな財政格差というものが、東京都とほかの道府県、それから同じ大都市であっても指定都市と23区、それから東京23区と周辺の自治体との間で非常に大きな格差がある。そして、あり余る財源を使って、東京都あるいは23区は、ほかの自治体ではできないようなばらまきをやり、現金給付をやり、無料化をやり、また、介護人材に対して考えられないような上乗せをして人材を奪っているというわけですね。東京都や23区というのは、もはや人材収奪団体ですよ。
こういう現状を、本当にいいと考えるのか。やはりそうではなくて、東京に全て集まるのではなくて、我が国は非常に多様な国土、多様な地域性というのがあるわけですから、全国のそれぞれの圏域に、やはり成長する拠点というものをつくっていく、北海道から九州、沖縄までですね。これは何も特別市が全てではありませんが、そういうような成長を牽引するような拠点をつくって、それぞれの地域特性や、あるいはそこで、想いを持つ人材を生かして成長させていくということが不可欠ではないかというのが基本認識です。そういうことを考えたときに、やはり大阪の場合には、大阪都構想の考え方は大阪市を廃止して、大阪府に権限を移し、同時に、住民に身近なところは、東京23区のような特別区が担う。こういう形で二重行政を解消するとともに、この大阪を含め関西全体を牽引しようという考え方ですね。そういう制度でこの問題を解決しようとするのであれば、指定都市が独立をし、周りの自治体、周りの地域と水平的な連携、運用を行って圏域を形成し、その圏域により多くの、今までよりも多くの権限、財源、また人材がそこで活躍をして、多極分散型の考え方で、我が国の経済成長をリードしていこうという、そういう基本的な考え方です。ですから二重行政の解消ということだけではありません。そういうような見地から人口戦略会議などが、やはり、もう消滅する可能性もある、あるいはブラックホール型自治体のような現象も起きてきているというような提言もある。そういう中で総務省、村上総務大臣には、やはりこういう現象というのを真正面から捉えて、もう一度、この地方自治制度の在り方ということを総括的に検討していただくような研究会をつくっていただきたいということと、その研究会では、特別市の創設を含む大都市制度の在り方を検討していただきたいというお願いをさせていただいたところです。
これに対しては、初めから特別市を議論するということを超えて、やはり日本のそういう人口減少時代にふさわしい地方自治制度というのはどうあるべきかということについて研究会を設置していただくことになりました。また、この研究会の下部機関という位置づけだろうと思いますが、大都市の問題も研究するワーキンググループをつくっていただくことになり、これは大変、村上総務大臣をはじめ、総務省には感謝をしております。来年、この研究会とワーキンググループは設置をされますので、指定都市といたしましては、この場で、先ほど申し上げたような基本的な視点に立って、より具体的な考え方や、もし、可能であれば提言のようなものも、この場で開陳をさせていただきたいと思っています。
記者:
特別市の創設に関しては法整備というのが必要だと思いますけど、それに関してはワーキンググループとかで検討される中で、神戸市としての意見もいろいろ出しつつ、実現に向けて動いていかれるというような感じのイメージでいらっしゃいますか。
久元市長:
神戸市というよりも指定都市市長会として。
記者:
そうですね、すみません。
久元市長:
そのつもりです。
記者:
分かりました。
あと、すみません、ちょっとこれはどうかなと思うんですけど、先ほど検疫マネジメントの話もちらっと出たかと思いますけれども、その関係で、久元市長としては道州制についてはどのようにお考えか、今の時点でのお考えも教えていただけますか。
久元市長:
道州制については、指定都市市長会では議論は本格的にはしておりません。道州制につきましては、これは十数年前になりますが、内閣総理大臣の地方制度に関する附属機関である地方制度調査会におきまして、道州制の必要性、それから道州制としての基本的な制度の概要みたいなものは提言をされております。ですから、これは経緯的に言うと国のほうも道州制ということをやはり検討されたことはあるわけです。ですから、これを本格的に議論の俎上にのせていくというのはかなりのエネルギーが要るわけで、これは今まだそこまでの盛り上がりというのは見られないと思います。
ただ、日本の都道府県制度というのは1890年前後に府県制が設定をされたことが原点になっていて、その後、北海道が別の制度に基づいて成立し、1943年に東京府と東京市が合体する形で東京都ができ、今の都道府県制度になっているわけですね。やっぱり都道府県の境界ということを考えたときに、つまり47都道府県の姿というのは1888年に香川県が成立をして以来変わっていません。130年以上変わっていないわけですね。一方で、市町村は明治の初めの市制町村制ができたときの市町村は数万ありました。これが明治の大合併、昭和の大合併、平成の大合併で数十分の1の1,700代ですよね。
このように大きく市町村のありようというか、制度が変わっているにもかかわらず、都道府県の姿が全く変わっていない。全く変わっていないということは、やはり本当に社会経済の変化に都道府県と市町村の2層制を含む日本の地方自治制度というものが対応できているのかということは古来より根本的な問題があろうかと思います。ただ、この根本的な問題があり、だから道州制というのも国自身がこれを検討する価値があるという答申を出したわけですから、これを本格的に議論するには大きな変革であるだけにエネルギーを伴うということも事実なわけですから、なかなかすぐには難しいだろうと思いますけれども、そういう根本的な矛盾と、そして問題を抱えているということは、やはりできるだけこの共通認識を持っていただくような努力ということを私たち指定都市はしていかなければいけない。難しいことではあるけれども、そういう方向性とそれから情熱と大きな問題意識を持って進んでいかなければいけない。これが指定都市市長会に課せられミッションだと思っております。
記者:
先日、神戸市顧問の神田さんの講演会が開かれたかと思います。そこで、全体を通して市長の印象に残った部分であるとか、メッセージというものをどうやって受け取られたか教えてください。
久元市長:
神田眞人さんはものすごく激務であるということを承知しつつ、神戸市の顧問をお願いいたしましたのは、神戸も新たな国際都市としてグローバル社会の中で神戸がどういう立ち位置になるのがいいのか。その前提として世界がどう動いていこうとしているのかということについて、御教授をいただきたいと思ったわけです。あまたの講演依頼がある中で、ああいう形で経済界の皆さん、それから、大学の関係者、神戸大学の藤澤学長をはじめ大学の関係者の姿もありました。学生の皆さんの姿もありましたね。非常に多様な方々の前で、国際情勢と政策というような、正確ではなかったかもしれませんけど、そういうタイトルで講演をしていただいたことは大変ありがたいことでした。
まず、世界がどう動いているのかということについて、個々に伝えられる事柄というものが実は相当関連しているということ。それから、日本経済というのは、先ほど申し上げたこととも関連しますけれども、非常にここ数年、ありていに言えば、元気がなくなっているということ。その現実の姿というものを、例えば為替のレートの問題なんかも含めて、数字の上でも非常に明確に示していただいたということ。それから、それに対してどういう基本的な問題意識を持ったらいいのかということについての提言というのも、これも細かな話ではなくて大きな方向性ということをお話いただいたということが非常に有意義だったと思います。
その中で印象として残りましたのは、やはり雇用の流動性を高めるということですね。現実には実際に現場にいる我々には難しい面もあるわけですけれども、大きな方向性としては雇用の流動性というのは日本は世界の中で著しく低いということですね。これはやはり流動性が高まれば、それだけ生産性も高まるということになるだろうと思いますから、特に若い世代の皆さん、これはあらゆる世代について言えることですけれども、より自分の適性ということを見極めて、ここから先は私の意見ですよ、私の意見ですけれど、自分の適性を見極めて、そしてより成長できる環境があるところに転職をして、自己実現を果たしていくというような社会をつくっていくということが、これがやはり生産性を高め、経済の成長力を高めるということにつながるのではないか。これは私の受け止め方も含めた印象ですけれども、そういうふうに思います。やはりこれは自治体も含めて、特に企業が、そこで働く人々がいかに成長できるかという、成長できる環境をつくっていく、そこを競い合うということが、やはりそこで働く人々が能力を発揮する、そして能力を高める、そしてそのことがその企業や自治体の全体としてのパワーアップにつながるとよりいい循環をつくっていくということが非常に大事ではないかということを改めて神田さんの講演を聞かせていただきながら感じました。
あとは個別にはたくさんありますけれども、例えば、これからは、一番最初に明確におっしゃっていただいたのは、グローバル社会はアフリカの時代だということですよね。一番最初におっしゃった。アジアも、アジアは今、ASEANが伸びているとか、アジアにももちろん着目しないといけないわけですけれども、趨勢的に言うと、アジアもこれから少子高齢化の時代に入っていく。韓国はとっくに入っているし、中国もそうですね。ASEAN諸国も、少し遅れますけれども、そういうふうに入っている。そうすると、圧倒的にアフリカの時代になっていくということが印象的でした。
神戸はかなり早い段階から、ルワンダなどアフリカの人材が神戸の、例えば神戸情報大学院大学で学ぶ。今もアフリカ諸国を中心に、この前、入学式のときに私も御招待いただきましたけれども、かなり海外の人材が学んでいます。そういうことを考えたときに、やはり、アフリカとの交流というのをスタートさせたわけですけれども、ちょっと尻切れとんぼになっているところがあって、そういうところにやっぱり改めて着目するということを経済界の皆さんとも議論をするという必要性ということを、冒頭でそういうグラフを出していただきましたけれども、個別の話になりますが、そういう話でした。
記者:
ありがとうございます。
今回は視座を高めるというところが全体的に参加者の方のテーマの1つの目的にあったような講演のテーマだったのかなと思っているんですが、それの中で、例えば市も、今、幾つか言及がありましたけども、市の政策に例えば今後反映できそうだとか期待したいところがあれば教えてください。
久元市長:
あの御講演の中から、これはすぐ使えるということは多分あるとは思うんですけれども、そこは資料を読み返し、反すうをさせていただきながら、また年末年始に考えを深めていければというふうに思っております。また、市役所の幹部、若手も含めてたくさん聴講していましたから、庁内でもあの神田さんの講演を聞いた上で、それぞれの時間軸を考えながら、どんなことができるのかということは議論をしていきたいと思います。
記者:
来年1月17日の震災のつどいに関することなんですけど、以前にも伺ったんですが、震災25年のときに取り組まれた市営地下鉄の臨時便について、震災30年に当たる年では、やろうか、やらまいかというのは、何かお考え、現時点でございますでしょうか。
久元市長:
これは交通局の判断ということにはなりますが、今の時点では、結論から言うと、交通局は予定をされていないというふうに聞いております。
その理由として、震災25年のときに西神・山手線、これは4時13分発が約200名、海岸線が4時30分発、これは15名の乗車にとどまったということで、そんなに利用者がいなかったということもありまして、現時点では30年に合わせた臨時便の運行は予定をされていないというふうに聞いております。
記者:
現時点でのお考えは予定されてないと御説明いただきましたけど、今後、何か変わる可能性はまだ残しているということなんでしょうか。
久元市長:
いや、そうではありません。交通局としてはそういう方針だというふうに聞いております。それから、この臨時便を運行してほしいというような、市民団体からもそういう要請は受けていない。臨時便を運行してほしいという声は全くなくはないかもしれませんが、そんなに多くはないだろうというふうに思います。いずれにしても、交通局の判断に委ねたいと思います。
記者:
すみません、先ほど見せていただいた「海」という文字は御自身でお書きになったもの、自筆ですか。
久元市長:
私が書きました。
記者:
お上手でいらっしゃいますね。神戸の1年を振り返って「海」かと思いますけれども、久元市長御自身で1年を振り返っての字というのは何かお考えでしょうか。
久元市長:
私自身の字ですか。
記者:
はい。
久元市長:
私自身の字はありませんね。
記者:
ない?
久元市長:
ええ。やっぱり、私は子供のときから海が好きでして、里山も池も好きでしたけど、海も好きでしたね。須磨の海水浴場にもよく泳ぎに行きました。まあ、水はめちゃくちゃ汚かったですけどね。よく病気しなかったと思うぐらい汚かった。須磨の水族館が私がちょうど子供のときにオープンして、市電に乗って水族館にも行きました。当時は水族館で、その後、水族園になったんですね。港にもよく行きました。まだポートタワーができる前から、中突堤とか、あの辺もよく知っています。中突堤から関西汽船に乗って淡路にも両親に連れていってもらったことがあります。すごく海には子供の頃から親しんでおりました。
海はいいですよね。港はロマンチックですね。ロマンチックな世界ばかりではなかったですけれども、子供が知り得ない世界もあったのかもしれませんが、やっぱり港町というのはいいですよね。港町を歌った歌とか、すごくいいですよね。すみません、余計なことを言いまして。
記者:
いえいえ。
久元市長:
ですから、この「海」という文字には私自身の思いも込めたつもりです。