最終更新日:2025年1月22日
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司会:
それでは、ただいまより1月2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。今日、お話を申し上げたい案件は1件です。自然回帰志向に対応いたしました樹林葬墓地の整備についての方針を決定いたしましたので、御説明を申し上げます。
神戸市は市立墓園を設置、運営をしているわけですけれども、この墓園行政については墓地に対するニーズ、あるいはそのニーズの背景にあるこの墓地の在り方に関する市民の皆さんのお気持ち、あるいは感情というようなものを大切にする。それらが変化をしてきているわけですけれども、そういう変化をしっかり認識をした墓園行政を行っているところです。
そういう見地から、お墓の維持管理に関するアンケート、ネットモニターの皆さんに対するアンケートを行いましたところ、お墓の取得に当たり重視することは何なのかというと、維持管理に関する費用が65%、子や孫に負担にならないこと、52.1%。これは2年半ぐらい前のアンケートですけれども、こういうような結果が出ております。一方、この市立墓園の墓じまいの状況ですけれども、これが増加をしております。
10年前、2014年度は許可をした件数のほうが多かったわけですね。許可数から返還数を引いた額、これは45区画だったんです、2014年度。これが翌年度、2015年度には128区画が減ということ、つまり返還のほうが多くなってきている、これが激増しております。2023年度は843区画が減少ということで、墓じまいが大きく増えてきているというのが現状です。
このように、お墓に関するニーズというものが変わってきている。一言で言うと、子供やお孫さんに負担をかけたくないという、そういう傾向が強くなってきているということ。これはかなり前から分かっておりましたので、神戸市では合葬墓を整備しようということで、2018年度に鵯越合葬墓を整備いたしました。この合葬墓に対しては高いニーズが続いております。大体1,300体から2,000体くらいの申込みがあるという、そういう多くの使用申込みがあるということです。この鵯越の合葬墓につきましては、2万体が埋蔵容量ですけれども、使用許可済みの数が1万2,685体ということで、残りは七千二、三百体ぐらいです。ですから、このままのペースでいきますと、四、五年くらいで満杯になりますから、これはまたその時点でまた考えていかなければならない。それよりも少し前に検討を始めなければならないというふうに考えております。
こういうように、墓地に対するニーズが変わっている、その背景にあるのはどういうような現象があるのかということですけれども、そういうことを検討していく上で、神戸市立墓園のあり方を検討する有識者会議を2023年4月にかけて開催いたしました。大変興味深い提言を、墓地、墓園について本格的に研究、検討したということは初めてで、ほかの自治体でもあまり例がなかったのではないかと思うんですが、非常に興味深い御指摘をいただきました。
そこで、この有識者会議で提言をいただいたのは、そういう墓地に対するニーズの変化に対応する方策といたしまして、この墓じまい、無縁化の増加傾向については、期限付墓地の整備がいいのではないかということで、現在この整備を進めております。2025年度から供用開始をする予定です。
それから、身寄りのない方です。子供さんがいないのでお墓をつくっても承継をする方がいない。そういうような方については、生前から御自身の葬祭、あるいは埋葬の在り方ということをサポートするエンディングサポート事業もこの有識者会議で提言をいただきまして、これは昨年の6月から実施をしています。一方で、この有識者会議では、自然志向に対応した墓地というものについても検討したらどうかという御意見がありました。
そこで、庁内的に検討を進める一方で、昨年の1月に、インターネットによるアンケートを実施いたしました。6割を超える方が樹木葬、このアンケートでは、神戸市が考える樹木葬というのは、いわゆる里山型と言われるものを考えていますということをお示しいたしまして、この里山型というのは、自然の山林を生かした形態の墓地を里山型の樹木葬と、こういうふうに説明をいたしまして、この利用意向があるのかどうかということをお聞きいたしましたところ、6割を超える方が、これを利用すること、利用したいという、そういう御返答があったわけです。
この里山型の樹木葬、樹林葬ですよね。これについて検討を進めてきまして、今回、今これから申し上げるような整備方針を決定いたしました。
この樹林葬の墓地につきましては、北区のひよどりごえ森林公園の山林を活用いたしまして、そのうちの一部ですね。そのうちの一部を樹林葬墓地として整備を行います。公園の北のブロックで、公園の入り口から約400メートル進んだ場所です。
比較的平坦な場所でして、埋蔵の深さが50センチ以上確保できる、この地盤の区域を対象といたしまして、約1,200平米を墓所区域として設定をいたします。埋蔵数は、現地の状況を踏まえまして、約1,600体を予定しております。
個々の焼骨ごとに埋蔵場所を設定いたしまして、ほかの方の御遺骨とは混じり合わない、それぞれ区分しながら、分けて埋蔵をするという、そういう方法を考えております。
供用期間は20年間、1,600体ですから、1年当たり80体の受入れを予定しています。
具体的に埋蔵方法についてですけれども、ちょっとイメージパースを御覧いただきますと、墓標は個々の木ではなくて植生の変化、植生の遷移による変化も含めて、樹林全体を墓標にするという、そういうイメージです。個々の木ごとに埋蔵すると、これは樹木葬といいます。そういう形態のものが多いわけですけども、そうではなくて、この山林全体が一種の墓標になるという、そういうイメージです。
この樹木葬というのも行われているわけですけれども、個々の木ごとに埋蔵するということは、木の生育に影響を与える可能性があるという指摘も、専門家からあります。それから、木が枯れることがあり得ますから、木が枯れてしまったときには、樹木葬、埋葬したときのイメージとは大分変わってしまうことになってしまいますので、それが適切かということもあります。そこで神戸市では、シンボルツリー型と言われている樹木葬ではなくて、里山型、林全体を墓標にするという、そういう考え方を取ることといたしました。
それから、埋蔵方法は自然分解を促進するために、パウダー状にした焼骨、粉骨ですけれども、これを直接土の中に埋蔵するという方法を取ります。これによって、大体お骨が20年から30年かけて分解をし、土に還ることができるのではないかというふうに考えられています。
埋蔵供用期間は20年間といたしまして、その後30年かけて、つまり供用開始から50年後に元の公園内の山林に戻る、こういうイメージです。つまり自然回帰型の墓地ということをイメージしております。
具体的に空間整備のイメージですけれども、この里山型の樹木葬、樹林葬の区域を示す、墓域を示す柵を設定いたしまして、そこで埋蔵時期、大体このエリアについては二千二十何年度に埋蔵をいたしましたという、そういうプレートを設置いたします。そして、ここが樹林葬墓地であるという、多分、石碑のようなものになると思うんですけれども、こういう案内を設置いたします。
そして、この樹林葬を行う墓域については、これは一定の間伐を行いまして、光が差し込む比較的明るいエリアといたします。そして、東屋とかベンチも設置をいたしまして、墓参に訪れる方々が、鳥のさえずりも聞こえてくると思いますけれども、そういう中で静かに個人を偲ぶことができるような、そのようなイメージの墓園を造りたいというふうに考えています。
スケジュールですけれども、今年度中ですね、3月までに詳細設計を行い、新年度に入ってから整備工事に着手をし、併せて使用料も設定をいたします。今年度中ですね、来年の3月頃に樹林葬墓地の募集を開始いたしまして、来年の夏頃に供用開始をしたいというふうに考えております。
私からは以上です。
記者:
この樹林葬、樹林墓地なんですけども、全国的にはあるのかなと思うんですけど、兵庫県内とかは既にあるんでしょうか。兵庫県内には既に存在しているんでしょうか。
久元市長:
兵庫県内には、樹木葬と言われている形態は、完全にこの三つに分けられるのかどうかというのはありますけれども、里山型と言われている、神戸市が今回採用しようとするパターン、それからシンボルツリー型ですね。シンボルツリーとなるような比較的高い木の根元に埋葬するという、そういうタイプ、シンボルツリー型ですね。あと、ガーデン型と言われている、小さな区画のお墓を花壇のように集めて、この花壇状の区画の墓地の、区画のお墓の周りに花とか樹木を植えるという、ガーデン型と言われるものがあります。これ、全国的に見て幾つかあるようですが、兵庫県内では宝塚の宝塚すみれ墓苑というところに、このガーデン型の墓地があります。それから、里山型のものは、これは大阪府の外郭団体が、大阪府都市整備推進センターという大阪府の外郭団体が、大阪北摂霊園という墓園の運営をしておりまして、ここに里山型の墓園があるというふうに聞いております。
全国的にはそんなに数が多くはないとは思いますけれども、例があることは事実です。政令指定都市では例がありませんから、神戸市が初めてということになります。
記者:
ありがとうございます。
この中で、ちょっと里山の墓地というのは、ちょっと行ったことがないので、想像がなかなか難しいんですけど、やっぱり墓域を示す柵であるとか、こういうプレート、東屋というのを整備することによって、ある意味静かな空間を維持したり、そこに散策されている方が入らないようにしたりとか、そういうような配慮としてなされてるのかなと思うんですけど、そのあたり、どういった狙いがあるのかというのをお伺いしたいんですけど。
久元市長:
まずですね、通常の墓園というのは区画を親族、基本的には直系の子孫の方がですね、これを、使用許可を受けて責任を持って管理をしてもらうという必要があるわけですね。ところが、そういうニーズというのが減ってきている。子孫に、直接的には自分の子供さんやお孫さんに自分のお墓の負担をかけたくないというニーズがあって、そういうニーズに応えるために合葬墓地を造ったわけですけども、これもですね、ですから個々の墓標は、亡くなられた方の墓標はありません。個人のお名前とか戒名のようなものはないわけです。ですから、どこに埋葬されているのかということは分からないわけですね。ですから、そういうことを認識された上で、こういう墓地を選択されると。あるいは、もちろん子供さんやお孫さんもいらっしゃると思いますが、そういう通常の墓地、お墓の、個々の墓標がないけれども、この辺りにお父さんは眠っているとか、お母さんが眠っているということを認識されてここに来られるというような、そういうような墓参の形態が想定をされますね。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
ちょっと位置を、グーグルマップで見ることしかできないんですけども、例えば近隣住民の方の反応とか御説明とかというのはあるんでしょうか。
久元市長:
近隣のひよどり台自治会にも説明をいたしまして、了解はいただいております。
記者:
大きく2点あるんですけども、この墓地を利用できる方に何か条件などはあるのかというのと、それを踏まえてなんですけど、民間でも樹林葬をやってるところはあると思うんですけども、行政としてやる意義についてどう考えていらっしゃるのかお伺いしたいです。
職員:
(生前の)申込みについては、現在の合葬墓からの部分でいきますと65歳以上の方を対象にしているんですけども、詳細はこれから検討していくことになります。
それから、ほかの民間でもやっているというふうになるんですけど、民間がどれぐらいやっているかというのは実際、うちのほうでつかんではいないんですけど、先ほど市長のほうからお話もありましたように有識者会議からの御意見、それからネット調査での市民ニーズの高まりを受けて、行政がやっていく必要があるというところでやらせていただいております。
記者:
ありがとうございます。
あともう1点なんですけども、管理の仕方についてで、供用期間が20年で、元に戻るまで50年とかなり長いスパンでの管理になると思うんですけども、この管理は指定管理とかそういう業者にお願いしてやる形なのか、その場合は契約としての期限とか、どういった形で進めていく予定なのかお伺いできればと思います。
職員:
これもこれからの検討になるんですけど、基本的には業者にお願いして管理をしていただくというふうに考えております。
記者:
ちなみに業者にはどれぐらいのスパンで契約をしていく、1年とか、あるいはもうちょっと長い期間でとかというのは決まっていますでしょうか。
職員:
ちょっとまだそこまで決まっていないですけど、基本的には1年の契約がまずベースにあると思います。今から検討に入ります。
記者:
粉骨を入れる形で埋葬するということだと思うんですけど、普通の焼骨との違いを教えていただけたら。もう一手間かかるものなのでしょうか。教えていただけると助かります。
職員:
焼骨は、基本的に斎場に行って、焼き上がったお骨そのままの状態だと思うんですけど、もうひと手間、簡単に言うと砕くという行為になるんですけども、粉々にする、パウダー状にするというのが粉骨というふうになります。粉骨にする場合には、業者さんにお願いして多分やってもらうことになるかと思うんですけど、大体、他都市で見ていると1万円から3万円ぐらいの間の費用が別途発生するということになっております。
自然に還るのが、粉骨にしないと、焼骨のままだと大体100年ぐらいかかる部分もあると。粉骨にすると30年ぐらいというふうに言われておりますので、粉骨にしてこちらのほうにというふうに考えております。
記者:
この樹林葬ですとか、あと樹木葬ですとかというのは、最近ニーズが高まっているということもあり、増えているということもあるかと思うんですが、このタイミングで企画されたということで、例えば企画の段階で法的にクリアにしなければならなかったこととか、あと環境面でクリアにしなければならなかったとか、あるいは何かこれ、規制緩和とか関係あったりするんでしょうかということなんですが、何かそういうのでありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
久元市長:
まずこういう墓園のニーズに応えるための合葬墓は、これは2018年度から行っているわけですね。そういう中で、さらにニーズも相当、その後も変わってきている。つまり返還数も多くなって、墓じまいが増えてきている。こういう現象がここ10年ぐらいの間に急速に進んできたということから、先ほど申し上げた有識者会議を立ち上げたわけです。この有識者会議の提言をいただいたので、それを具体化するという作業をここ2年ぐらいやってきたということですね。
それについては、まず場所をどこにするのかとか、どれぐらいの埋蔵数を想定するのかとか、そういう検討が必要でして。ただ、法令上の問題は、そもそもお骨を埋めるということは、これは基本的には墓地、墓園でないとできない。墓地、墓園を運営するには許可が要るということが必要で、その埋葬の方法も、墓埋法という法律、墓地、埋葬に関する、正式な名前はまた確認していただければと思いますが、墓埋法と我々が言っている法律の中に基づく基準で決められているということなので、規制緩和とかそういうものが必要であるわけではありません。その法律に基づいて本市が運営している墓園の中で、その法令に適合した形での、先ほど説明があったような、パウダー状にして埋葬するという方法ですので、特に特別の法令上の手当てが必要になったわけではありません。
同時に、先ほど申し上げたように、自治会の御理解もいただかないといけないということ。それから、その前提として、先ほど申し上げましたけれども、アンケートなども取ってニーズの確認をする。そういうような作業を経て、今年度、検討を進め、今日説明をさせていただくことになったということです。
記者:
ということは、例えば、10年前でも20年前でもこういうものを造ろうと思えば造ることができたのだけれども、ここへ来てこういう希望する方が増えているというのが今回の神戸市さんが動こうとすることになったきっかけであるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
久元市長:
少なくとも20年前にはそういうニーズは少なかったと思いますね。既にそういう事象は発生していたかもしれない。しかし、10年ぐらい前から、そういうニーズが、墓じまいが増えてきているということと、合葬墓地に対するニーズも高まってきたので、神戸市としては、これは自治体の中ではかなり早い段階だったと思いますが、鵯越墓園に合葬墓地を造ったわけです。これには相当、これを開設いたしましたら、もともと非常にニーズが高かったのか、あるいはこういう合葬墓地の開設ということを待っておられた方が相当おられたということだと思いますけど、当初3,000体ぐらいの申込みがありましたね。その後、少し落ち着くのかなと思ったら、先ほど申し上げましたように、多い年は2,000体ぐらいの申込みがある。つまり、ここ10年ぐらいの間に、急速にこういう墓地、あるいは、自分の亡くなったときにどういうような形での埋葬を望むのかという、そういう、ニーズと言っていいかもしれませんし、お気持ちと言っていいかもしれませんけれども、そういうものがかなり変わってきているということは間違いないというふうに思います。この変化が急激に起きてきている。それに対応した方策として、今回、我々としてはこの樹林葬墓地という取組をスタートさせたいということです。
記者:
追加で1つ。価格帯は、これは一般的には市立墓園とか合葬墓と比べて高いのかどうか、どうでしょうか。
久元市長:
これは、先ほどスケジュールで申し上げましたように、この募集を開始する前、2025年の夏頃に使用料を設定したいというふうに思っておりますので、使用料についてはもう少しお時間をいただきたいと思います。
記者:
分かりました。一般的な区画の墓園より高くなるとかというのは。
久元市長:
それはあり得ないですね。これは、通常の区画が区切られた墓園の使用料から見れば、かなり安くなると思います。
記者:
日本時間の今日、アメリカの野球の殿堂で、イチロー元選手がアジア人初として殿堂入りに選出されました。オリックス時代には、阪神・淡路大震災で被災地のこの神戸を勇気づけた象徴的な存在の方なんですけれども、震災30年の節目でそういうめでたいことになられたんですが、何か市長のコメントや受け止めがあれば伺わせてください。
久元市長:
もちろんこれは神戸市民にとってはうれしいニュースですし、大変喜んでおります。今お話がありましたように、日本人として初めて、アジアからは初めての米国の殿堂に入られるということで、すばらしいことだと思います。
イチローさんはオリックス・ブルーウェーブの時代に、1995年、96年と2年連続優勝に導かれた方ですね。「がんばろうKOBE」というエンブレムを着けて試合に臨まれて、震災に打ちひしがれた当時の神戸市民を物すごく勇気づけていただいたことを、多くの神戸市民が思い起こしていると思います。イチローさん御自身も、神戸というのは特別な街だということをおっしゃっていて、この殿堂入りが発表された後のコメントでも神戸のことに触れていただいているということも大変ありがたいことです。
私たちとしては何らかの形で、このイチローさんの殿堂入りについてお祝いをすることができないだろうか、物すごく大がかりなイベントということではなくて、神戸市民の皆さんの素直な祝福と感謝の気持ちというものを、何らかの形でお伝えすることができないだろうかということを、今検討しているところです。できるだけ早く、どういう方向がいいのかということを関係の皆様方と相談をして、お示しできればと思っております。
記者:
ありがとうございます。市長が後半でおっしゃっていた、何らかの形での祝福と感謝を伝える手段ですけど、イメージとしては何か、御本人をどうにか招いてのイベントみたいなものができないかというお考えなんでしょうか。
久元市長:
いえ、まだ今日のお話だと思いますから、まだ白紙です。ただ、何らかのことはできないかなというふうに、今関係の方々と相談しているところです。
記者:
すいません、例えばそれは表彰とかをできないかとか、そういうことも念頭にあるんでしょうか。
久元市長:
ですから今、まだこれから考えようと。何かいいアイデアがあったら、ありますか。もしおっしゃっていただければ。
記者:
すいません、ちょっと調べきれなかったんですけど、特別功労賞とかって受賞されてないんじゃないかなと思ったんですけれども、そこら辺の可能性はいかがでしょうか。
久元市長:
思いますのは、やはり多くの神戸市民が、特に震災30年ですから、30年前のことを思い起こし、そして、イチローさんに感謝の気持ちをずっと、多くの市民が抱いていて、今回、まさに震災30年のときの、このすばらしい慶事に、喜ばしい出来事にお気持ちを示すときに、私の名前で何らかの賞状をお渡しするということが、市民の皆さんのお気持ちに沿うのかどうかということは、私は個人的には少し疑問を感じております。もっと違う方法、たくさんの市民の皆さんの気持ちが込められたことができないかということ。ですから、具体的にどうするのかというのはこれからになりますけれども、私自身はそういうふうに感じております。
記者:
トランプ大統領が就任しまして、神戸は日本でも有数の貿易港であるということもありまして、それとは別の観点でも構わないんですが、新しいトランプ大統領に注目されていることがありましたら、ぜひお伺いできればと思います。どうぞよろしくお願いします。
久元市長:
これはまず、外交・通商に関するところですから、国の動向をしっかり見ていきたいと思いますけれども、おっしゃいますように神戸は有数の貿易港ですから、米国との間の貿易に、大量物流にどういう影響があるのかということは、これに関連する、特にトランプ政権の関税政策には注視していきたいと思います。
記者:
ほかはよろしいですか。
久元市長:
そうですね、ちょうどこの記者会見の後、トランプ大統領の就任演説をしっかり読み込もうと思っておりましたので、それを読み込んだ上で、また自分なりに考えたいと思います。また、庁内には国際関係に詳しい職員、幹部もいますし、外国人人材もいますから、そういうような方々の御意見を聞きながら対応、何が起きる可能性が高いのかということをしっかり分析していきたいと思います。
記者:
先日、東京都のほうで石丸さんが新党を立ち上げて、党としての政策は出さないとか、2期8年とかいろいろと政策を語っていらっしゃったと思うんですが、そのあたりについて受け止めがあればお願いします。
久元市長:
やはり石丸さんは個人的にも存じ上げていますし、石丸さんの動向につきましては私も関心を払ってきました。今、国政あるいは地方政治に関してある種の閉塞感が漂っているということは事実だと思いますから、そういう中で政治に対して新しいムーブメントを起こしていかれるということを目指しておられるだろうと感じておりまして、その動向については関心を持っていきたいと思います。
記者:
先日発表されていた部分で何か興味を持たれた部分とか、関心が高まった部分はありましたでしょうか。
久元市長:
正直YouTubeで会見が行われているのは見ましたけれど、ちょっと全部これを見る時間はありませんでしたが、その上で申し上げるならば、具体的な政策というのはよく分からなかったんです。新しい地域政党、再生という名前が入っていたのは覚えていますけれども、具体的な政策についてはちょっとよく理解できなかったです。
印象に残っているのは、たしか都議会議員で推薦をする候補者については、たしか2期間8年に限るということ、今までそういうことを主張した政党や地域政党はなかったと思うので、これは大変新鮮に感じました。
記者:
ありがとうございます。
市長は石丸さんとお会いされたことはあるんでしたっけ。
久元市長:
安芸高田市長を辞められる直前にお会いをしました。しかし、辞められて東京都知事に立候補された後はお会いしておりません。その前にお会いしたのはたしか3回だったと思います。1番最初に、安芸高田市長のときに神戸市役所に来られてお話をしましたし、2回目にも御挨拶に来られたことがありました。3回目は安芸高田市長を退任される直前だったと思うんですけども、そのときには東京都知事選挙に立候補されるということを表明されていたと思いますが、西宮の芸文センターで安芸高田市だけではない広島県北部地域の伝統の神楽が上演されるということで招待をいただきました。そのときにはお会いをしてお話をいたしました。そのときには私の神楽に対する印象を安芸高田市の広報紙に載せたいのでインタビューをお願いしますということをおっしゃって、インタビューには石丸さんは同席されませんでしたけれども、お話はいたしました。そのときに石丸さんとはお会いをしてお話をした、それがお会いをした最後だったと思います。
記者:
兵庫県の話になるんですけども、先日、100条委をめぐって誹謗中傷を受けられていた元県議の方がお亡くなりになるということがあって、斎藤知事のほうもSNSの誹謗中傷を規制するような条例を検討されているということですけども、久元市長も2年ほど前に個人的にはSNSとの決別といいますか、やめられて、そのメリット、デメリットをよくお考えになっているかなと思うんですが、神戸市でもそうした誹謗中傷を防ぐような条例というものを考えられるようなお考えはあるか。また、兵庫県が条例を検討されているという動きについて、どう評価されているかお考えをお聞かせください。
久元市長:
まず、竹内前県議が亡くなられたと、恐らく自殺ではないかと、そういうお知らせに接しまして、本当に衝撃を受けました。大変ショックでした。どうしてこんなことが起きたのか本当によく分からないですよね。やっぱり兵庫県政の中で、いわゆる文書問題が起きてから自ら命を絶たれる方が、間隔は置いているわけですけれども、続いているということについては大変これは残念で、残念を通り越して、とても悲しいことだと思います。絶対に、今後こんなことは本当に絶対にあってはならないし、そう願っています。
SNSの影響というのは、これが、今回の、亡くなられたということで、どのように結びついているのかということは、これは正直、私自身はよく分かりません。ただ、SNSについての様々ないわゆる誹謗中傷について、これはやはり考えていかなければいけないという風潮やそれに対応していく動きが広がっているということは承知をしております。
神戸市として何ができるかということについては、正直、考えられるものは今のところ浮かんではきません、SNSの問題についてはですね。
国においては、非常に長い名前の法律ですけれども、いわゆる情報流通プラットフォーム対処法が制定をされて、一定の要件の基にその情報を削除する、削除申出に対する判断や通知や、削除申出に対する対応の整備といったことが盛り込まれた法律が既に制定されておりまして、公布の日から1年、まだ施行されていないようですね。この施行状況ということを見守っていきたいというふうに思います。
兵庫県が条例を検討されるということですから、その動向は見守っていきたいと思いますけれども、これはもちろん検討については注視していきたいと思いますけれども、ネット空間の中での言説の内容に着目をして、これに対して行政が介入するということについては、やはり、当然のことながら表現の自由と関わってくるわけで、何らかの行政が関与する対象となる情報がどのようなものなのか、対象をどう限定するのか、基準をどのようにつくるのか、その基準を具体的に誰がどのように当てはめるかであるとか、その中の関与に対しての実効性をどのように担保するのか、違反をしていると考えた場合の措置は誰がどのように行うのか、そういう措置に対する不服申立てや異議申立てというのは誰がどのようにするのかといったような事柄については、相当これは入念な検討が要るのではないかというふうに感じます。
記者:
市長としては、兵庫県を見守りたい、ぜひつくってほしいというよりは、かなり難しいだろうというふうな冷静な視点を持ちつつ、兵庫県が行うというよりは、国のほうでという思いでしょうか。それともまた別の動きがあってしかるべきという……。
久元市長:
とにかく、どういう対応が求められるのかというのは私自身はよく分かりません。ただ、これを、ネット空間に流通する情報、言説の内容に着目して行政が何らかの関与をするということについては、これは相当入念な検討が要るのではないかと。仮に実効性がほとんど伴わないような条例が制定されたとするならば、これはかえって失望を招くことにもなりかねないわけですから、条例をつくっていただく以上は、きちんとその条例が、今、多くの県民・市民が心配し、こういうことをなくしてほしいと感じている事象の解決につながる実効的な内容を含む条例にしていただきたいと思いますし、そのためには、やはり先ほど少し例示的に申し上げましたけれども、そういう入念な検討をしっかり行っていただくということが必要ではないかというふうに感じております。
―― 了 ――